English Column 英会話コラム

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英単語を思い出そうとしている女性

英会話では、文法がある程度分かっていても、覚えている英単語の数によって理解できる文章量は大きく変わってきます。英語を学ぶ人にとって「語彙を増やす」ということは、とても重要なことなのですが、いざ暗記となると苦手意識を持っている人は、意外と多いのではないでしょうか。

そこでおすすめなのが、脳の記憶のメカニズムを利用した暗記法です。膨大な量の英単語を闇雲に覚えようとしても、しっかり記憶として植え付けることは容易ではありません。効果的に覚える方法を身に付けることができれば、まるで母国語のように、記憶の引き出しから欲しい単語を取り出すことができるようになります。

記憶の種類と脳との関係

記憶は覚えていられる時間によって大きく3つの種類に分けられます。

主の記憶の種類を説明した図

「感覚記憶」とは、外界からの刺激を数秒間記憶するもので、これによって私たちは映画のストーリーや会話などを認識することができるのです。また、感覚記憶の中から必要な情報だけをピックアップして記憶する「短期記憶」は、数十秒から数分たつと忘れてしまいます。

それに対して、数分から長いものでは一生記憶を保持することができる「長期記憶」には、言葉で表現が可能な「陳述記憶」と、言葉で表すことができない「非陳述記憶」があります。

陳述記憶とは

陳述記憶の一つ「エピソード記憶」とは、自分が経験したできごとに関する記憶のことで、「高3の夏休みに同級生とキャンプに行って川で泳いだ」など、時間・場所・心理状態などのさまざまな情報をトータルで記憶することができるが特徴です。

また、同じ陳述記憶でも、言葉や物事の意味そのものを記憶する意味記憶は、エピソード記憶のような時間や場所などの付加情報は記憶されず、内容のみが記憶されています。

非陳述記憶とは

言葉で表現することができない非陳述記憶には、職場までの道順や料理、楽器演奏のような、物事を行うための手順について記憶する「手続き記憶」と、事前に覚えた記憶が後の情報に影響を与える「プライミング」の2種類があります。

特に、「ピザ」と10回言った後で、ひじを指さして「ここは?」と聞かれた時に、無意識に「ひざ」と答えてしまうような、誰もが一度は経験したことのあるこの現象を「プライミング効果」といいます。

記憶のメカニズム

感覚記憶は、短いものでは1秒程度で消えてしまいますが、感覚記憶として取り込まれた莫大な情報のうち、重要とされる情報が選択されて短期記憶として残ります。そして、短期記憶の中でも繰り返し呼び出された情報のみが、長期記憶として定着するのです。

記憶は「記銘」「保持」「想起」の3つの過程によって構成されることから、たとえ記銘や保持がしっかり行われても、想起を怠っていると、せっかく貯蔵された情報は忘却の一途をたどります。そのため、情報を長期記憶として安定化させるには、想起を繰り返すことが重要なプロセスとなるのです

記憶の過程を説明した図

長期記憶を確実に固定させるには?

長期記憶として残った記憶の中にも、数分で忘れてしまうものがあれば、数か月以上忘れずに覚えているものもあります。ドイツの心理学者のエビングハウスが示した忘却曲線によると、長期記憶は記憶してから1日で急激に忘却が起こることが分かります。

エビングハウスの忘却曲線を解説した図

そのため、長期記憶をしっかり固定化するには、忘れてしまう前に再度想起する必要があります。特に、覚えてから20分で急激に忘却が進むことから、その時点での想起はかなり効果的だといえます。さらに、1時間後・1日後・1ヶ月後などの定期的な想起によって、長期記憶として固定する効果を高めます。

効果的に単語を覚えるために

膨大な数の英単語の意味を、そのまま意味記憶として覚えようとするのはとても大変なことですよね。記憶するタイミング以外にも、ここで紹介するような記憶方法の工夫によって、記憶の効果は一段とアップします。

1.睡眠をしっかりとる

睡眠が語彙を増やすことにどんな関係があるかと思われるかもしれませんが、実は眠っている間、私たちの脳の中では記憶の再構築が行われているのです。特に短時間の睡眠では、記憶の固定が行われるレム睡眠が効果的に得られません。そのため、何か大切なことを憶えた日はしっかりと睡眠をとることで、脳に記憶を定着させることを心がけましょう。

2.語呂合わせ

意味記憶を覚える方法として、誰もが一度はトライしているが語呂合わせです。子どもの頃に覚えた「いい国作ろう鎌倉幕府」や「水平リーベ―僕の船・・・」などのフレーズを、大人になってからも覚えている人は多いはず。同じように「心配させて悪りぃ(worry)」や、「デレッ(delay)として遅れる」のような楽しい語呂合わせを考えると、意外と忘れずにしっかり覚えられます。

3.エピソード記憶として覚える

なかなか長期記憶として定着させるのが難しい意味記憶は、エピソード記憶として覚えることですんなり記憶することができます。例えば、以下のようなエピソード記憶につながるような覚え方をすると、自然に記憶として定着させることができます。

  • 「I’ll be back.」のように映画のセリフをシチュエーションごと憶える
  • 公園やカフェなど普段とは違った場所で憶える
  • 覚えたい事柄について、いろいろな人に話してみる

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    サッカー大好き今どき男子の代表のような大学生くら君が、ラングランドの英会話レッスンに挑戦!(TOEICもガンバる)

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